みんなで海にいきました。

。。。>・ )))彡 〜〜〜

　水面〈サーフィス〉を隔てた波の下は、人魚の領域だ。

　海の深いところで水に身をまかせ、深い緑の髪をうねりに遊ばせている櫂が。
　海面を見上げて、ふとつぶやいた。
「なあ優。水面からぶら下がってる足見ると、つい引っ張り込みたくなるよなぁ」
「そんなの、櫂兄さんだけじゃない？」
　とか言いつつ、上を見上げると、優もやっぱりうずうずしてしまったりする（笑）。
（だけど、いくらなんでも実行はまずいよね〜）
　とか思っている間に、櫂は実力行使に出た。

　しなやかに身をくねらせて水面近くまで浮上すると、
「うりゃ！」
　気合もろとも、浮き輪から伸びる誰かの足を抱えて引っ張り込む。
　その勢いで浮き輪が、すぽ〜ん！　と空中高くすっ飛んだ。
　浮き輪が着水する頃、引っ張り込まれた当人は、すでに海面下約１０メートルにいた。

　がぼごぼげぼ！

　盛大に気泡を吐き出して暴れるのはミハエル。
　じたばた抵抗するけれど、水中で櫂の力に敵うわけがない。
（あにすんだよ！）
　心で抗議しても櫂は意に介さず、どんどん深みに引き込む。
（放せよ！　放せったら！　苦しいだろーがっ）
　が、もちろん声にはならない。
「へ。悔しかったら振り切ってみな」
　紺碧の瞳をきらめかせ、櫂はにやりと笑う。
　ミハエルが息を使い果たす寸前まで潜り続け、やおら手を放す。

（！）
　ようやく解放されたミハエルは必死に手足をばたつかせるが、水面は遠い。

　見かねた優がすいっ、と泳ぎ寄り、暴れるミハエルの手をつかんだ。
　引っ張られ、強い水の抵抗を感じた一瞬後、上半身が水面を突き破る。
「だいじょうぶ？　櫂兄さんたら、ムチャクチャするからねー」
「……っはあはあはあはあはあはあ」
　返事をする余裕すらなく、消耗した様子で肩を上下させるミハエルのそばに、
　櫂がぽかりと顔を出す。
「へっへ〜」
　じと目でにらむミハエルのそばを、仰向けでつ〜っとよぎる。
「俺が近寄ってんの、ぜんぜん気付かなかったわけ？　テレパスのくせに鈍いよな、
　ミハちゃんは〜」
「……んだとぉっ」
　プラチナのライオンヘアも濡れてボリュームを失い、威厳もへったくれもない。
　逆上気味ではあるがＨＰ低下は否めないミハエルなのだった。

「ミハエルって、泳げなかったんだね。なんか意外だなぁ」
　浮き輪につかまってひと息ついたミハエルのそばに、優が泳ぎ寄る。
「るさいな。泳げなくたって人間は別に困らないんだよ！」
「そりゃそうだけど、泳げた方が楽しいよね」
　にっこり、全開の笑顔を見せる優。
「その気になったら、いつでも教えてあげるよ」
「……」
　ミハエルは赤面し、そっぽを向く。

　くすくす、笑い声だけ残して優は海面に消えた。

〜〜〜 ミ（（（・< 。。。

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